世界的なライブ・ブッキング

バーチャルな時代になればなるほど、パブリック・アピアランスが重要になります。SNS等でつながった世界中のファンの前で演奏する機会です。

新型コロナウイルスの感染が落ち着いた段階で、世界中でこれまで実施できなかったイベントが競い合って開催されることになるでしょう。1年以上も自宅隔離のような強い外出規制が書けられた地域ほど、鬱屈した民衆がイベントを求めているので、どのイベントも盛況が予測されます。

現在、アメリカやヨーロッパのメジャーなライブ・シーンはLIVE NATIONとAEGの２社がほぼ独占的にコンサートを実施しています。大きなフェスティバルや、ニューヨークならマジソン・スクエア・ガーデン、ロサンゼルスならステイプルズ・センターでのコンサートは、この会場自体をこの会社が仕切っているので、どちらかと契約する必要があります。新人の登竜門といえばライブ・ハウスですが、こういった会場もLIVE NATIONとAEGの２社が押さえています。

こんな状況の中でも、エンタテインメントマーケティングでは、これまで培ってきたネットワークにより世界各地のブッキング・エージェントやベニューとつながり、ブッキングを行っていくことができます。いつも新鮮なアーティストを求めているベニューの担当者はいるものです。

また、費用に関してもエンタテインメントマーケティングはサポートが可能です。「クール・ジャパン」を謳う日本政府は、アーティストの日本国外の活動に関しては「J-LOD」補助金の「1.コンテンツ等の海外展開を行う際のローカライズ及びプロモーションを行う事業の支援」を設定しており、この補助金を活用できます。

ASTERISMでは、2019年のアジア・ツアーにあたり、同一アーティストで4回の補助金を得、これを利用してツアーを行いました。

新型コロナウイルスによるオンライン・ライブの隆盛

新型コロナウイルスの感染拡大により、収益の柱であるライブが実施困難になり、一気にオンライン・ライブの実施が目立つようになりました。日本では一部のメジャー・アーティスト以外はオンライン・ライブが成功していないよいうですが、それでも会場のキャパシティに左右されず、わざわざ遠隔地から大都市の会場に足を運ばなくてもいいオンライン・ライブはこれからは数多く開催され、いずれは現実のライブとオンライン・ライブのハイブリッドなライブの実施が一般的になるだろうと言われています。

世界的にはBTSの2020年6月14日に実施したオンライン・ライブの成功が有料オンライン・ライブの最大の成功例ということになっており、動員75万人、収益1800万ドル、と報道されています。その他にも、2020年11月3日の「嵐フェス」や「フォートナイト」でのマシュメロやトラヴィス・スコットのヴァーチャル・ライブも成功しています。

バーチャル・ライブ・システムに関しては韓国勢の攻勢がすごくて、「Naver」「V LIVE」「SM Entertainment」が共同開発したバーチャルライブシステム「Beyond LIVE」では、これまでに「SUPER JUNIOR」「東方神起」「SuperM」「WayV(威神V)」などのトップ韓流アーティストのバーチャル・ライブが配信されています。世界最先端の「AR(Augmented Reality : 拡張現実)」が取り入れられていて、ステージの上をヘリコプターが飛んだり鯨が泳いだりして、カメラも全メンバー個別カット＋全体カットを自由に切り替えられます。自宅のファン達はWi-Fi接続されたオンライン応援棒(ペンライト)をかざすとそれがARで客席に現れるという優れたものです。
また、他にも「Big Hit Entertainment」が「Weverse」と共同で「BANG BANG CON The Live」を開催したり、その他、様々なバーチャルライブのプラットフォームが開発されていたりするので、IT技術大国としての韓国が世界のバーチャルライブのシェアを押さえることになるだろうと思われます。

確かにバーチャル・ライブは今流行ですが、エンタテインメントとして安定して多くの人たちが楽しめるようになるのには、まだ少し時間がかかりそうです。それまでは、1カメでも良いので、アーティストのリアルな姿が伝わるライブ配信をすればいいのだと思います。

最近エンタテインメントマーケティングが注目しているのはTikTokライブです。ディオールやシャネルなどのハイ・ブランドのショーもこのプラットフォームで行われており、スマートフォンで見ることを前提に考えられたプラットフォームなので、気軽に利用することができます。