【アメリカ】アーティスト・ビザ申請の方法(1) 弁護士への依頼から許可まで
このページでは、アーティストとそのサポート要員のアメリカのビザの申請の方法を解説します。
他の種類のビザの申請方法もあまり変わらないようですが、各ビザに合ったウェブページを検索してみてください。
また、この情報は2023年2月現在の情報です。
アメリカのビザ取得には以下のような段階があります。
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- 弁護士への依頼から許可まで https://ent-mktg.us/musician/tips/1222/
- DS-160申請の準備 https://ent-mktg.us/musician/tips/1242/
- DS-160の入力 https://ent-mktg.us/musician/tips/1257/
- 領事館での面接申込み https://ent-mktg.us/musician/tips/1284/
- 領事館での面接 https://ent-mktg.us/musician/tips/1294/
エンタテインメントマーケティングでは、この各段階に1ページずつの解説ページを用意しました。このリストの各行をクリックすると、それぞれのページにリンクしています。
このページでは、まず「弁護士の依頼から許可まで」を解説します。
ビザ申請の方法1 (弁護士への依頼から許可まで)
ビザの申請は日本のアーティストやマネジメントが行うのではなく、アメリカの会社が行います。アメリカの会社が「この仕事を実行するためにはこの人たちが必要だ」と言って申請するわけです。将来、メジャーなエージェントやレコード・レーベルがこの申請をしてくれるようになるまでは、エンタテインメントマーケティングのUSオフィスが「この人たちが必要だ」と申請します。
あくまでこれは「アメリカの企業が自身の業務を成功させるために外国籍の人が必要である」場合に、アメリカ企業が政府に請願する形で申請するものであることを忘れてはなりません。
「Oビザ」は「その分野において業界のトップ数パーセントのうちの1人として卓越した才能の所持者である」と認められた人のビザですから、これを証明する必要があります。
- 例えば、アカデミー賞、エミー賞、グラミー賞または監督協会賞などの国内外の著名な大賞の受賞候補者にノミネートされた、または受賞したことがある場合は、その事実を証する資料。音楽アーティストだとアメリカ国内の賞だとグラミー賞ということになりますね。「日本レコード大賞」のような日本の音楽賞を同様に認めてくれるかどうかは、申請してみないとはっきりしません。基準は明らかにはなっていないのです。
また、以下のうちの3点以上が必要となります。アメリカ移民局は提出された資料の いずれかを不十分とみなす可能性があるので、準備する資料は、多ければ多いほど良いのです。
- 極めて著名な作品や公演に本人が主役またはスター級として出演したことがあるか、出演することになっている場合は、その事実を確認できるような新聞や雑誌に掲載された評論、宣伝広告資料、新聞発表、ポスターその他の印刷物や契約書、保証書等のコピー。
- 本人がその業績により国内的または国際的に高い評価を受けている場合は、その事実が確認できるような大手の新聞、業界紙、雑誌その他の出版物に掲載された評論または本人に関する記事のコピー。
- 本人が著名な一流の組織や団体のために主役級、スター級またこれに準ずるような重要な役で主演したことがある場合は、その事実が確認できるような新聞、雑誌その他の出版物に掲載された記事のコピーまたはどう事実を確認したかの宣誓供述書。
- 本人が業界において成功を収めて巨万の富を築いていたり、評論家の間で絶賛されていたりするという場合は、その事実を確認できるような資料。
- 本人の専門分野における業績が関係団体、評論家団体、政府機関その他の著名な専門家の団体から高く評価されている場合は、その事実を証する資料。
- 本人が専門分野に従事している他の者と比較して多額の給与、出演料その他の報酬の支給を受けていたり、既に受けていたりる場合はその証明。
これを提出した上で、同業者団体(Peer Group)や労働組合(Labor Organization)、経営組織などから意見書(Advisory Opinion)をもらう必要があります。音楽アーティストならAmerican Federation of Musicians(AFM)からですね。AFMからはこのようなレターが発行されます。
「Pビザ」も、これに準じる資料が必要です。ライブやレコーディングの契約書も必要です。
これらが揃った段階で弁護士に依頼して、弁護士費用を支払うことになります。弁護士と我々で、ビザ取得の難易度を考えます。ここで、弁護士の費用の見積もりが出ます。アーティスト一人あたり日本円換算で50万円程度は必要だと思います。バンドであれば人数分の費用が必要です。4人バンドなら200万円くらい、ということです。この費用が出せないのなら、ビザは諦めて、何か他の方法を模索しましょう。また気をつけなくてはいけないのは、弁護士に支払ったお金は、ビザの取得に成功しなくても戻ってこないということです。
揃えた資料では不十分で「これではとても申請できない」ということもあり得ます。この場合はジタバタしないで諦めましょう。弁護士は、どんな資料が必要なのかアドバイスをくれるので、この資料が揃うように活動の中でやっていきましょう。資料が十分揃った段階で再度弁護士に見てもらうのです。
初回では弁護士に「不十分」と言われたのだけれど、たまたまアメリカの有名メディアに取り上げられたら一気にそれでオッケーになるケースもありました。
ビザの取得には2か月くらいはかかります。「Express」というサービスもあるにはあるのですが、割増料金が必要ですし、画期的に早くビザの取得ができるかというとそうでもありません。
この図は、エンタテインメントマーケティングが提携しているカリフォルニア州の出入国専門弁護士事務所「DMT」が使っているOビザ/Pビザの取得までのステップを表したものです。
STAGE 1は、アーティストの契約書や資料、掲載媒体のコピーを集めるステージです。BillboardやRolling Stone英語版などの英語のメディアにバンバン掲載されていればいいのですが、日本語などのメディアであれば英語への翻訳も必要です。基本的に弁護士事務所やアメリカ政府当局が信用する翻訳会社に依頼するのですが、自分たちで翻訳する場合には翻訳者の宣誓書が必要です。
実はSTEP 1の前に、準備しておかなければならないのが日本のパスポートです。申請するビザの有効期限よりも長い有効期限のあるパスポートが必要です。たとえば3年間のビザを申請するのならば、それ以上の有効期限のある日本のパスポートが必要なのです。ビザはその人に対して有効なのではなく、申請したパスポートに対して有効なので、せっかく長期のビザを取得してもその前にパスポートの有効期限が切れてしまったらそのビザは使えないのです。パスポートを現在所持していなくて新たに申請するのであればパスポートの有効期限は5年か10年なので問題ありません。また現在持っているパスポートの有効期限が1年未満なら、更新が可能です。そうでない方は、「事情説明書兼確認書」を添えて切替申請してください。この書類の雛形は東京都の場合、ここにあります。各都道府県でもそれぞれ用意しているようですので、検索してみてください。
https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/passport/others/files/0000000440/jijosetsumei2.pdf
STAGE 2は招聘元である弁護士事務所が行なう事務作業に必要な期間で、2023年2月現在、この事務所では5週間から6週間を要しています。
STAGE 3はアメリカ政府当局、USCIS (United States Citizenship and Immigration Services : アメリカ合衆国市民権・移民業務局)が審査に要する時間です。平均2週間から6週間ということになっていますが、追加の手数料を支払って「プレミアム・プロセッシング」を申し込むと2週間での審査終了を保証してくれます。追加手数料を支払わない「レギュラー・プロセッシング」の場合は、招聘元のアメリカ企業の所在地を管轄するUSCISの事務所によって大きく審査所要期間が変わります。エンタテインメントマーケティングUSオフィスの所在地はカリフォルニア州ですが、実はカリフォルニア州を管轄しているUSCISの事務所は、全米一申請が殺到していて審査所要期間が長いと言われている事務所です。「プレミアム・プロセッシング」の追加手数料は一人あたり$2,500と高額ですから、4人バンドだと1万ドル、100万円以上にもなってしまうので、できれば支払いたくないですよね。急に大きなフェスティバルへの出演が決まった」などの場合でない限りは、早めに準備しましょう。
STEP 3の審査で合格するとUSCISから弁護士事務所に「I-797B」という書面が届きます。審査の合格証ですね。
ここまでが弁護士の仕事でした。
弁護士の仕事がスムーズに進むためには、「Oビザ」取得条件の「(科学、芸術、教育、ビジネス、スポーツの)その分野において業界のトップ数パーセントのうちの1人として卓越した才能の所持者である」であること、「Pビザ」ならば「国際的に認められたグループ」であることを示す証拠を少しでも多く集めることです。
日本の新聞雑誌やウェブサイトの記事も有効でしょう。でも、それよりは少しでも英語のメディアの記事、特に有名な「Billboard」や「Rolling Stone」の記事があると強いです。
契約書も、高額な金額の契約であればあるほど「その分野において業界のトップ数パーセントのうちの1人として卓越した才能の所持者である」であったり「国際的に認められたグループ」であったりするイメージが強く残るでしょう。
これらの証拠が集められれば集められるほど、ビザの取得の審査は通りやすくなるのです。
ビザ申請の弁護士費用
アメリカのビザを自身で申請するのはとても大変です。イミグレーション専門の弁護士事務所に依頼するのが普通です。
エンタテインメントマーケティングではカリフォルニア州の弁護士事務所と提携して、日本のアーティストのビザ取得をお手伝いしています。
アメリカの弁護士は細かく専門に分かれています。企業法務専門、交通事故専門、離婚専門、、、という具合ですね。
イミグレーション専門の弁護士の中でも更に細かく得意分野ごとに分かれていて、ある人はメキシコ人の労働者専門、とか、ある人は起業家中心、などになっています。アーティストに関しても専門の人がいます。エンタテインメントマーケティングが提携しているのは、このアーティスト・ビザ専門弁護士事務所です。
気になる費用ですが、バンド・メンバー5人とスタッフ3人の合計8人の申請なら、だいたい1万ドル前後を見てください。
- 弁護士費用:おおむね$7,000程度
- USCIS(アメリカ政府)の手数料:O-1(P-1)に$460、O-2(P-2)に$460の合計$920
- ユニオンに支払う、レター発行の手数料:$1,000程度
- 郵送費用など、雑費:$500程度
- この他に、領事館での面接手数料$190とビザ取得後のパスポートの郵送費用日本円で2,860円、は、面接申込みの際に領事館にクレジットカードで直接支払います。
弁護士費用は、申請者の人数が増えればその分加算されます。
これに、エンタテインメントマーケティングの手数料が加算されます。エンタテインメントマーケティングは資料作りのお手伝いをしたり、必要であれば資料の翻訳なども行ないます。
<関連ページ>
アメリカのアーティスト・ビザの取得方法は全部で5ページあります。各ページで内容をご覧ください。このリストの各行をクリックすると、それぞれのページにリンクしています。
- 弁護士への依頼から許可まで https://ent-mktg.us/musician/tips/1222/
- DS-160申請の準備 https://ent-mktg.us/musician/tips/1242/
- DS-160の入力 https://ent-mktg.us/musician/tips/1257/
- 領事館での面接申込み https://ent-mktg.us/musician/tips/1284/
- 領事館での面接 https://ent-mktg.us/musician/tips/1294/
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