日本はリスク・ゼロじゃないと許せないお国柄

野外フェスティバルに関する罵詈雑言に関して

2021年8月29日から30日に開催されたヒップホップのフェスティバル「NAMIMONOGATARI」が批判を受けています。

NAMIMONOGATARI2021の観客のようす

批判のポイントは、

  • 会場は満員で、あまりにも「密」だったこと。
  • 主催者が呼びかけているのに関わらず、マスクをしないで大騒ぎしていた観客がいたこと。
  • 会場でアルコール飲料が販売されていたこと。

などです。

出演したMC TYSONさんのInstagramをみると、たしかにみっちりお客さんは入っていたようです。

 

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「NAMIMONOGATARI」の主催者は「観客にルールを示した」と言っています。主催者のTwitterには「会場内は必ずマスクの着用をお願いします」「会場内ではソーシャルディスタンスを必ずお守りください」「定められたエリアでしか飲食はできません」「その他ガイドラインを必ずお守りください」と書かれていて、会場にもこのような掲示が至るところに出ていたそうです。また、開催中にも5回に渡って会場にアナウンスしたけど、効果がなかったと言っているようです。

アルコール飲料を販売したことについては、主催者は「会場を管理する愛知県の許可を得てアルコール飲料を売っていた」と言ってるので、それにも関わらず批判されていることはかわいそうだと思います。

これは僕は主催者やステージに上ったアーティストの「運用」の問題だと思います。
開催自体は問題ありません。
事前に会場の貸主である愛知県と確認し、その条件で開催したのです。
ただし、「5,000人という条件だったのに8,000人入場していた」という情報があります。もしこれが事実なら、これは主催者はアウトです。
問題の運用は「フタを開けてみたら、観客が全然ガイドラインを守らなかった」という事がわかった段階で、主催者は音を止めちゃえばよかたんです。「ガイドラインを守らないお客さまには退場していただきます」というアナウンスをすれば良かったんです。
会場をチェックしてガイドラインに従わないお客さんには退場させることができるだけの警備人員を用意するべきでしたね。
出演したZeebraさんは「会場に向かう最中SNSで会場の写真を見て、すぐにスタッフに連絡をし、司会からマスクの着用を徹底させる様に伝えました。」「自分の事務所スタッフは消毒液を配布しながら会場を回り、自分のステージでも注意を促しました」と言っていますが、音を止めて帰っちゃう度胸はなかったのかな。5,000人なり8,000人の暴動が頭をよぎったのかな。

世の中の論調は「フェスティバルに集まる傍若無人な輩(やから)たち」「これを主催するひどい主催者」という方向に導きたがっているように見えるけれど、どんなエキサイトしたコンサートやフェスティバルでも、集まっているのは音楽好きないい人たちなんです。アーティストはいつもこの人たちのパワーを背景にして音楽をやっているんだけど、もし本当に傍若無人でも、ちゃんとしたアーティストなら大観客はコントロールできるのです。

この国は「リスク・ゼロじゃないと許せないお国柄」なんだと、今回のコロナ禍を1年半も過ごしてきて、心の底から思います。
こういうときには、あなたの常識やマナーやエチケットでなくルールで動くのです。法律で禁じられていなくても、その場を統べる人の示したルールがその場の決まりです。法律で禁じられていない発言でもTwitterやFacebookでそれを言ったらその場を統べるTwitterやFacebookが示したルールでbanされても文句は言えません。
同じようにフェスティバルにはフェスティバルのルールが有り、これで統べれば良いのです。

イギリスでは、政府が「大規模イベントは安全」という判断をしています。

大規模イベントは安全と英政府 感染リスク、会場外と変わらず【時事通信】
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021082100502&g=int

イギリス政府はF1イギリス・グランプリやサッカーのEURO 2020、テニスのウィンブルドン選手権、ビジネスイベントといった大規模な催しについて感染状況などを調べました。そのうち、サッカーのEURO 2020では、9,000人以上が新型コロナウイルス感染症に感染している、と報告されているのに、政府は「大規模イベントは安全」という判断なのです。

ユーロ2020開催で9000人以上が新型コロナ感染と報告「いかに容易に拡散するかを示している」【超ワールドサッカー】https://news.yahoo.co.jp/articles/146c0c672ce1d0848ea100fc396a499d02047954

この違いは、お国柄ですね。
日本は、リスクがゼロじゃなくなった瞬間にギャーギャー言う人がいて、こういう人はイギリスにもアメリカにもいるだろうけど、これもマスコミが増幅するんですね。

アーティストは、この国ではルールで禁じられていることはしてはいけないけれど、それプラス、リスクを感じさせる行動をしてはいけないようです。アーティストは人気商売ですから、このマーケットの人を怒らせると仕事が続いていきません。
この国でこれからも活動を続けていくなら、「リスクを感じさせる行動」。これからは、これにも気をつけましょう。

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