アーティストの売上の大半はコンサートから
Facebookなどで、こんな広告を見たことがあるかもしれません。
「Artist Manager Toolkit」の広告です。
この画像にはツアー・バスとTシャツが写っていますね。
「アーティスト・マネージャー・ツール・キット」の広告なのに、音源や楽器を示すグラフィックではなくてこういったものが写っているのです。
ツアー・バスとTシャツ……これがまさしく、今のアーティストたちの収入源を示しています。
プリンストン大学の教授、アラン・クルーガーが各種資料をもとに推測したアメリカの音楽全売上高の内訳が、このグラフです。
最も比率が高いのはストリーミングで27%なのですが、コンサート関係の売上が全体の48%と、半分近くを占めています。
内訳は
- コンサートに関わる費用や手数料 20%
- アーティストのコンサート収入 13%
- 物販・売店・駐車場 5%
- スポンサー 10%
です。
音源の売上は
- ストリーミング 27%
- フィジカル(CDやレコード)の売上 7%
- デジタル・ダウンロード 8%
となっており、合計42%。コンサート関連よりも低いのです。
- 音楽出版 9%
- シンクロナイゼーション 1%
と、著作権関係が10%です。
著作権収入は曲や詞を書かないアーティストには関係ありませんし、最近はコライティングで5人10人のライターが関わるケースが増えているので、アーティストが独占することができません。
ビッグ・アーティストではさらに録音物からの売上が低く、コンサートからの売上が大半を占めているのがわかります。
毎年Billboard誌は「Highest Paid Musicians」というのを発表していますが、2019年の売上トップ10アーティストの項目ごとの売上の比率はこのようです。
フィジカル(CDやレコード)がよく売れたQueen、ストリーミング比率の高いPost Maloneは別として、ビッグ・アーティストは売上の大半をコンサートから得ているのがわかると思います。
かつてはSteely Danのようにレコードづくりはするけれどもツアーをやらないアーティストもいましたが、いまはそうはいきません。
アーティスト・マネージャーはコツコツと交渉して、より条件の良いコンサートをアーティストに入れていくのが仕事になってきています。
ちなみにこの広告商品である「Artist Manager Toolkit」は様々なアーティストの仕事のチェックリストや契約書の雛形などが詰まった「お道具箱」で、筆者も利用しています。
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