「音のしくみ」がわかるとミックスが楽になる

若いミュージシャンに「ミックスがグッチャグチャになってしまっているので聞いてみてほしい」と言われることが時々あります。
デジタル技術の普及によって自宅でのレコーディングが簡単にできるようになって、ミックスもプロのエンジニアじゃなくてミュージシャン自身が行なうようになってきたので、こういう相談も受けるようになっちゃっています。
ある時、あるミュージシャンから「シンバルの衝撃的な音をショッキングに聞かせたいので、DAWでシンバルをガンガン上げてみるのだけれど全然思ったように聞こえてこない、どうしたら良いだろう」という相談が来ました。
実際の音を聞かせてもらったら、シンバルと同じタイミングで鳴っているピアノの音が邪魔をしていることがわかりました。ピアノの帯域はシンバルよりも低音なのだけれど、ピアノの音に含まれている倍音がシンバルの音をマスキングして聞こえづらくしていたのです。
こういうことは、「音のしくみ」がわかると起こっていることが理解できて、ミックスが楽になります。
ネットで検索してみるといい記事がたくさん出てくるけれど、手っ取り早く概要をつかむのならば、本を読んでみるのが良いと思います。オススメの簡単な本はこれです。

『図解雑学 音のしくみ 第2版』 中村健太郎著 ナツメ社

この本を読むと、楽器には「倍音」といって、実際に聞き手が感じている音よりも高い周波数が含まれていることがわかります。
たとえばピアノで440Hz(A4)の音を弾いたときの周波数はこの図のようになります。
ピアノのスペクトル分析(440Hz)

アコースティック・ギターだと下図のようになります。
アコースティック・ギターのスペクトル分析(440Hz)

意識して聞いているのは440Hz(A4)だけれど、こんなにも上の方の音が含まれて、それぞれの音色になっているのですね。

こういうことがわかると、作業もやりやすくなりますね。
もし入れてなかったらDAWにスペクトル・アナライザーのプラグインを追加して、自分が録った各楽器の音をこのように分析してみると、よりスッキリするかもしれませんね。

自宅でのレコーディングにはプロのエンジニアがつくことはあまりないので、ミュージシャンはネットで検索したりしながら試行錯誤を繰り返しているようです。音楽そのものじゃなくて、録音技術に時間や手間を取られるのが、すごく残念な気がします。
できれば信頼できるエンジニアと一緒に音作りをできれば良いのですが、それがムリなら、こういう本をチラッとでも見てみたらいかがですか。

「いい音」を探求するならば、自分が録音した音だけじゃなくて、音源をダウンロードできるウェブサイトから「いい音」をダウンロードしてみて、スペクトル・アナライザーにかけてみる、というのも良いかもしれません。

<音源をダウンロードできる主要サービス>
beatport https://www.beatport.com/

SOUNDCLOUD https://soundcloud.com/

DJCITY https://www.djcity.com/home

 

 

 

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