Billboard Year-End Charts 2022を考える

2022年12月1日に「Billboard Year-End Charts 2022」が発表されました。

Billboard Year-End Hot 100 Songs

https://www.billboard.com/charts/year-end/

これは例年発表されるもので、2021年の12月第1週から2022年11月最終週までのヒット・チャートをまとめたもので、このウェブサイトで毎週お知らせしているシングル総合チャートの「Hot 100」やアルバム総合チャート「Global 200」もまとめられています。

2022年のシングル・トップ10 (Hot 100 Songs Year-End Charts)は
1. Glass Animals 'Heat Waves'
'Heat Waves' Glass Animals
2. Harry Styles 'As It Was'
3. The Kid LAROI & Justin Bieber 'Stay'
4. Adele 'Easy on Me'
5. Ed Sheeran 'Shivers'
6. Jack Harlow 'First Class'
7. Latto 'Big Energy'
8. Justin Bieber 'Ghost'
9. Kodak Black 'Super Gremlin'
10. Elton John & Dua Lipa 'Cold Heart (Pnau remix)'
となりました。

ラジオでもダウンロードでもストリーミングでも強い、という必要はない

同時にラジオでのエアプレイ、iTunesなどでのダウンロード、ストリーミングの各項目に関してもチャートが発表されているので、これでトップ10を見るとこの表のようになります。
Billboard Year-End 2022の項目別ランキング
「ラジオでもダウンロードでもストリーミングでも強いぞ」という曲はありませんでした。総合1位のGlass Animalsの'Heat Waves'はストリーミングでは1位だけれどダウンロードは18位ですし、ストリーミングで3位と強いKodak Blackの'Super Gremlin'は総合9位ですがラジオのエアプレイでは35位、ダウンロードでは圏外です。総合7位のLatto の'Big Energy'はエアプレイでは強く6位ですがストリーミングは55位と低位です。
ラジオでもダウンロードでもストリーミングでも強いという必要はない、ということでですね。
自分の得意な分野でがんばり、不得意な分野はそのままにしておく、ということが重要なんですね。

ポップとカントリーが強い

年間シングル・トップ100をBillboardの分類しているジャンルで数えると

ポップ:37曲
カントリー:25曲
R&B/ヒップホップ:22曲
ラテン:9曲
アルタナティブ:6曲

となりました。
Bilboardには音楽ジャンルごとのチャートがあるのですが「ポップ」とは「R&B/ヒップホップ」とか「カントリー」といったジャンルに入り切らない曲をいいます。ですから、トップ100の中にはMariah Careyの'All I Want for Christmas Is You'とかBrenda Leeの'Rockin' Around the Christmas Tree'といった昔のクリスマス・ソングも含まれています。
ちなみに年間総合1位のGlass Animalsの'Heat Waves'は「アルタナティブ」に分類されています。

1. Glass Animals 'Heat Waves' アルタナティブ
2. Harry Styles 'As It Was' ポップ
3. The Kid LAROI & Justin Bieber 'Stay' ポップ
4. Adele 'Easy on Me' ポップ
5. Ed Sheeran 'Shivers' ポップ
6. Jack Harlow 'First Class' R&B/ヒップホップ
7. Latto 'Big Energy' R&B/ヒップホップ
8. Justin Bieber 'Ghost' ポップ
9. Kodak Black 'Super Gremlin' R&B/ヒップホップ
10. Elton John & Dua Lipa 'Cold Heart (Pnau remix)' ダンス

10位のElton John & Dua Lipa 'Cold Heart (Pnau remix)'が「ポップ」じゃなくて「ダンス」に分類されている理由は、私にはわかりません。
トップ10には1曲も入っていないけれど25曲がトップ100に入っているのがカントリーです。アメリカのローカル・ミュージックですね。19位のMorgan Wallenの'Wasted on You'、27位の同じMorgan Wallenの'You Proof'以下、特に90位台にはカントリーの曲が並んでいます。
ラテンは9曲入っていますが、アーティストとしてはBad Bunnyが7曲、Karol Gが2曲で、2アーティストしか入っていません。
2000年代初頭から続いたヒップホップの時代の先にはロックが来ると私は信じていますが、これは今年はまだだったようです。

Year-Endには下半期のリリースは入りづらい

Harry Styles 'As It Was'

「年間チャート」というと、あとから●●年を振り返って「20●●年の曲はこの曲」とされがちですね。
去年までの10年間のBillboard Year-Endチャート1位の曲は

2012年 Somebody That I Used To Know - Gotye Featuring Kimbra
2013年 Thrift Shop - Macklemore & Ryan Lewis Featuring Wanz
2014年 Happy - Pharrell Williams
2015年 Uptown Funk! - Mark Ronson Featuring Bruno Mars
2016年 Love Yourself - Justin Bieber
2017年 Shape Of You - Ed Sheeran
2018年 God's Plan - Drake
2019年 Old Town Road - Lil Nas X Featuring Billy Ray Cyrus
2020年 Blinding Lights - The Weeknd
2021年 Levitating - Dua Lipa

となります。「ああ、2020年といえばThe Weekndの'Blinding Lights'だったなぁ」となるわけです。
「今年2022年の曲」はGlass Animalsの'Heat Waves'なわけですが、この曲は1年52週中49週もトップ100に入っているわけです。私としてはHarry Stylesの'As It Was'の方が「2022年の曲」なんですが、この曲のトップ100入りは31週のみ。発売が昨年末ギリギリか年始であれば、集計期間中フルにヒット・チャートに入って、年間1位になれたように思います。
「20●●年の曲はこの曲」という曲を送り出したい人は、下半期のリリースだと、そうならないようです。

 

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