アーティストのグローバル活動の資金調達の方法がもう一つ増えます

札束

エンタテインメントマーケティングでは、バンドのグローバル活動のための資金集めに注力しています。
02. 資金集め - エンタテインメントマーケティングUSオフィス
https://ent-mktg.us/services/funding/

ソロ・アーティストももちろんですが、特にバンドの場合はスタート時に資金がかかります。バンドは日常的にリハーサル・スタジオに入って練習をしている必要があります。バンドとしてのまとまりは、この日常的な合奏で形作られていくものだからです。お笑いグループのように公園で練習ができればいいのですが、残念ながらバンドの場合はスタジオなどお金を支払うような場所でしか練習はできません。ソロ・シンガーならカラオケ・ボックスを利用するなど、少しは節約が可能かもしれません。
バンドの場合はライブ活動が必要です。このライブ活動もいきなり大会場が満員、だなんてことはなく、ライブから得られる収入なんて大したことはなく、リハーサルの費用を考えると赤字が普通だったりします。もちろん、バンドのメンバーも食っていかなくてはいけませんから生活費が必要です。大都市に育って実家で暮らせる人は家族の援助も得られるのかもしれませんが、地方から都市に出てきたような人は家賃から光熱費、スマホ代、そしてバンドの活動のための費用、と、普通のフリーター以上にお金が必要です。
ライブの会場でCDやグッズを即売して売上を立ててバンドの活動資金にすることも可能ですが、売れる前にまずCDやグッズの制作費は全額まずは製造元に支払わなければなりません。
ああ、お金がいくらあっても足りない……。

昔話をします。
レーベルに力があった頃、レーベルはアーティストに「援助金」を出す余裕がありました。バンドのメンバーの月々の給料やリハーサル代は捻出できるくらいの金額を事務所に渡していた時代がありました。売れているアーティストの売上の一部を新人の育成にあてることができたのですね。アーティストがビッグになってからも、かつての自分がそうだったものですから「新人になんか使わないでもっと分け前を増やせ」というアーティストは、いませんでした。「じゃあ事務所は?」。今、自腹を切ってメンバーの生活の面倒を見てくれる事務所は、ほとんどないと思います。
20世紀、まだシングルCDというものがたくさん売れていた頃は「B面作家」という人がいました。まだメジャーな作品を世に出していない新人作曲家作詞家に売れそうなシングルのB面曲(レコードの時代は片面1曲でメインのA面をひっくり返すとB面、だったのでこう言っていました)を書かせてもらい、当面の生活費をこの印税でまかなうことができました。
バンドのメンバーには、ソロ・アーティストのバック・バンドをやらせることもありました。デビュー直後の「安全地帯」は井上陽水さんのバック・バンドをやっていました。

もう、こんな新人アーティストに対する資金援助なんて、どこにもありません。なので、バンドは自分たちで活動資金をなんとか捻出するしかありません。ですから、エンタテインメントマーケティングでは、バンドのスタート時の資金集めに注力しているのです。

これは、日本で実績を積んだアーティストが本拠地を日本国外に移して活動するときも同じです。日本でいくら知名度があっても国外では全く無名ですね。本拠地を国外に移した以上、ここで生活していく必要があります。いずれ過去の日本の印税が入ってくるとしても、ある程度まとまったお金は最初に必要になります。

私たちは、日本のマーケットでもトップになるのは大変な努力がいるけれど、同じ努力をグローバル・マーケットで行えばもっともっと大きなリターンが得られると信じてこの仕事に取り組んでいます。でも、要する費用はやはりグローバル・マケットでは日本マーケットでビッグになるよりも大きくなってしまいます。

これはあくまで業界の噂話のレベルですからどこまで本当なのかわからないけれど、Justin Bieberがトップに上り詰めるためには50万ドル、日本円にして5000万円以上かかったというのです。Taylor Swiftに至っては100万ドル、1億円以上かかったと言っている人がいます。富裕な親がいてバーンとお金を出してくれるというのならこれもまた良いんですが、そんな人はほとんどいません。自力でなんとかしなくっちゃ。

そんな中で、アーティストにとっての新しい資金調達法が日本でも可能になるというニュースがあります。CDをコツコツ売ることでもなく、クラウドファンディングでファンから資金を集めるでも、YouTubeやSNSでマネタイズするでもない資金調達法です。
それは、自分たちの過去原盤から将来受け取る印税をまとまったに現金する、という方法です。
「ロイヤリティバンク」という会社がルクセンブルク発のスタートアップ、ANote Musicと2021年4月に業務提携してこの秋2021年9月には日本のアーティストの原盤印税も扱えるようにするというのです。

「ロイヤリティバンク」のウェブサイトhttps://www.royaltybank.jp/

'Wired Japan'によると、
アーティストがANote Musicにカタログを「上場」する場合には、まずANote Musicの専門家チームがそのアーティストの過去の印税収入をもとに将来の収入の見通しを試算し、評価額を提案してくるのだそうです。提案を受けたアーティストはその評価額をもとに基準価格を決め、投資家たちがオークション形式で入札していくという方法です。
https://wired.jp/2021/06/27/royaltybank-anote-music/
「過去の印税収入をもとに将来の収入の見通しを試算」するのですから、残念ながら実績のない新人アーティストには使えない「手」です。しかし、日本マーケットで実績のあるアーティストなら、まとまった資金を得る一つの新しい方法になりえます。

ロイヤリティバンクでは、すでにANote Musicが扱うヨーロッパのアーティストの印税を日本語の画面で購入することができます。
https://wired.jp/2021/06/27/royaltybank-anote-music/

最近は各SNSもアーティストへのお金の還元に力を入れており、YouTubeのほかにもTikTokやInstagram、Facebookでもマネタイズできるようになってきました。投げ銭システムと言われる方法もあるし、音楽のジャンルによっては「17ライブ」のようなライブ配信でもマネタイズできるかもしれません。昔はなかったクラウドファンディングという方法もあります。でも、いずれも集められるのは少額になってしまいます。
過去の実績があってこれからまとまった現金を得てグローバル・マーケットで勝負しようというアーティストなら、検討の価値がある方法かもしれません。

【無料冊子ダウンロードと郵送】アーティスト・サービスのメニューのすべて

アーティスト・ブック2023年12月版表紙
エンタテインメントマーケティングの全16項目のアーティスト・サービスを網羅した冊子を無料でさしあげます。2023年12月の最新版です。2023年の音楽業界のデータを反映しています。
pdfデータのダウンロードの他、ご希望の方には印刷した冊子を郵送します。